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新橋の夜はふけて

ロスアンジェルスから来日中のキース・ホールマンから連絡があり、新橋の燻製居酒屋「いろり村」にグラフィックデザイナーの角井さん共々集まる。店主の石田くんも含めて、昔「只今、JALで移動中。」のキャンペーンをやった仲間である。そのときのディレクターだった椙山三太さんは、昨年の10月に亡くなった。結果、三太さんを偲ぶ飲み会にもなった。

キースは映画監督を志して、ジョージ・ルーカスを輩出した南カルフォルニア大学(USC)映画学科を卒業後、早稲田大学に留学した。そして、日本のCM制作業界で長年活躍した。ふつうの日本人よりも日本語に長けているし、漢字もすらすら。いまは、ロスアンジェルスで人権活動家として忙しくしているらしい。角井さんは震災後の現地ボランティアとして東北に通いつづけ、最近は脱原発運動にも精をだしている。みなさん、問題意識をもって暮らしている。私は、ただ酔いどれている。

皆で大いに飲み、談笑しているうちに、なぜかトルーマン・カポーティ『冷血』の話題になった。するとキースが、「ぼくのお父さんは、カポーティが亡くなる直前まで一緒にいたんですよ」と話しだした。私は驚き、「えっ、キースのお父さんはゲイだったのかい?」と訊いた。キースは「いや、ちがいますよ。コンサルタントの仕事で会っているときに、カポーティの具合が急に悪くなり、病院に搬送したんですよ」とのこと。その数時間後に、カポーティは息をひきとったらしい。

そのうち、史上最悪の副大統領ディック・チェイニーの話になった。イラク戦争に自分が経営する軍需産業を介入させ、しこたま私腹を肥やしたあの前副大統領である。2年前に生きるか死ぬかの心臓の大手術を受け、回復した。莫大な費用でアメリカ一の心臓手術チームをつくり、成功した。「悪い奴が生き残るんだから、神様も不公平だな」と私が言うと、キースが「アメリカのメディアでは、『彼にも心臓(ハート)があったんだ!? 』と皮肉まじりの論調でしたよ」と応えた。我われは、笑った。

ビール、日本酒、焼酎とがんがん飲み、とにかくよく喋り、よく笑った。その声は、天国の三太さんにも届いたであろう。


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shanben

このブログに寄せられた数多くのコメントの中に、私にとって忘れられない一つのコメントがあります。それは、椙山さんが亡くなられた直後に「グッドバイ」という題で書かれた文章に対してのものです。

「渡辺さん、これをありがとう!」という書き出しでしたが、私には、この冒頭の一言に、コメントされた方の人となりが全て表れているように感じられました。

コメント者の欄に、キース・ホールマンとありました。
by shanben (2012-08-04 15:14) 

岩崎書店 編集部 松岡由紀

突然、このようなところに失礼いたします。
実は、弊社の古い本で、キース・ホールマンさんに訳していただいた本があり、それについて、ホールマンさんにご連絡をとりたいのですが、連絡先がわかりません。

もし、ご連絡がとれるようでしたら、下記にご連絡をいただけないでしょうか。
matsu@iwasakishoten.co.jp
by 岩崎書店 編集部 松岡由紀 (2017-06-12 20:26) 

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