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英雄

弘前高校の4年先輩に、Oという男がいた。寡黙で、クラシックギターを弾くのが趣味。飲み屋で会うといつもくたくたの黒いスーツを着ていた。小柄だった。

彼の同学年だったマサに聞いたのだが、Oは父親が亡くなったとき、ベートーヴェンの
交響曲第3番「英雄」の第2楽章を部屋におかれた亡骸を前に大音量で流したそうである。

その後、クラシックギターを学びにスペインに行くといって、まわりの人々から餞別をもらい、それをすべて飲んでしまって、横浜の苦海に身を沈めた。典型的な津軽男であり、生まれてきてスミマセンである。その後、彼とは偶然飲み屋で会ったがスペインはたのしかったという話しかしなかった。しかし、スペイン語のビール、サルベッサという言葉も知らなかった。そこで、彼はスペインに行かなかったことを私は知った。

30年以上前であろうか。ふらりと弘前に行き、一番町にあるホテルに泊まり、上の階のバーのカウンターに座ると、目の前にOがいた。彼はもちろん私のことを知っているが、こちらに同行者がいたこともあり、ただ黙々と酒をサーブしてくれた。

いま、ベートーヴェンの「英雄」を久々に聴きながら、そんなことを思いだした。

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