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看護婦さん

先日、頭をやられて横浜の脳神経外科病院に入院したときのことである。

手術に立ち会ってくれた看護婦さんが、めちゃくちゃ可愛かった。最初、病室に入ってきたときに「エッ!」とおもった。身長155センチくらいの笑顔の天使。しかし、いまの看護婦さんはあの白い帽子をかぶっていないし、スカート姿でもない。ポニーテールで、濃い紫色のVネックの上着に白いパンツである。

「あと2時間後に手術です。パジャマからこれに着替えてください。下は、ふんどしです」という。そして、血圧を計られた。「あら、かなり、高いですね」。私は答えた。「あなたが計っているからですよ。ふふッ」。彼女はうっすら恥かしそうに言った。
「よくいうワ」。これも、セクハラだろうか。

手術が終わって、3階から5階の病室にベッドに横たわったまま搬送された。そのとき、もうひとり先輩の看護婦さんが付き添ったのだが、先輩が後輩の彼女にいった。「あなた、ほんとキレイで可愛い顔をしているね」。変わった会話だな、とおもった。それは、私が言いたかったセリフだ。

その可愛い看護婦さんは去年、愛媛から出てきた24歳。私は「ときどき5階のこの部屋にきて」といった。しかし彼女は「それはできないんです。私は3階の勤務なので、できないんです。渡辺さんが3階にきてくださいよ」。しかし、それでは、ストーカー行為ではないか。それでも、その後、1回だけ3階にストーカーいたしました。

でも脳神経外科の病室というのは、みんな頭をやられて、「武器よさらば」とか「西部戦線異常なし」の野戦病院状態ですからね。許してください。


ポーカー・フェイス

アメリカのラスヴェガス、ホテルのカードテーブルで、3人の男とポーカーをしていた。ひとりは白人、ひとりは中東系、そして東洋人の男と私で4人。みなタクシード姿であり、自信ありげにほほ笑んでいる。カードの半分には、各国首脳陣の顔が描かれている。

私に最初に配られたカードには、アベ、イナダ、トランプ、があった。その時点で、勝ったとおもった。馬鹿のスリーカードである。私は手札を見ながら、ほくそえんだ。しかし正面に座ったMr・コウと名のる東洋人の男はカードを見ながら、あくまでも幸せそうな柔らかな顔でブルゴーニュの赤ワインをゆったりと傾けている。この時点で、私たちの左右の太りぎみの男たちはやや浮かない顔でバーボンのオンザ・ロックスを飲んでいる。私は内心笑いながらも、あくまでもポーカー・フェイスをよそおった。

さて、その次のカードが配られた。私にはスペードのエース、シリアのアサドがきた。アベ、イナダ、トランプ、アサドである。最強である。そして、最後の1枚はフランスのルペン大統領候補だった。世界を代表する馬鹿ども5人。私はバーテンダーを呼び、スカイ島のスコッチ、タリスカーのストレートをもう一杯注文した。そのとき、4人のあいだではブラフのかけあいで、賭け金は10万ドルまで引きあがっていた。日本円で1000万円くらいか。テーブルの下で、足にちょっとチカラがはいった。

そして、ドン! それぞれのカードの御開帳である。左右の客は撃沈。私は自信たっぷりにカードをならべた。何しろ、世界最悪の馬鹿5人である。でもその後、正面のMr・コウは私よりも余裕たっぷりにカードをテーブルにならべた。そこには、アベ、イナダ、トランプ、アサド、そしてキム・ジョンウンのカードがずらりとならんでいた。ロイヤル・ストレート・フラッシュである。

負けた。完璧に負けた。でも、なぜか清々しかった。そこで、目が覚めた。

今朝、そんな夢を見た。


そもそも

いま、ニューヨーク市の酒場で煙草を吸える店は1軒もないはずだ。煙草を吸いたくなった客は外に出て吸う。そこに灰皿は置いてなく、携帯灰皿という文化をもっていない彼らは吸い殻を何のためらいもなく路上に捨てる。それは清掃人の箒で、あるいは雨に流されて排水溝に落ちていき、地下水道の籠に溜まる。それを週に1度ほどくるバキュームカーが太いパイプを排水溝におろして、他のゴミとともに大音量で吸い取る。私は10年ほど前の朝、そういう光景をホテルの窓から見ていた。アメリカ中がいま、そういう状況になっているようだ。東京も、2020年のオリンピックに向かって、そういう「先進国並み」の禁煙都市をめざしているようだ。

しかし、最近の米国ミステリーを読んでいて例外のあることを知った。アメリカのあちこちの田舎には煙草を吸い放題の酒場があるというのだ。インディアン居留区(Indian reservation)、その地域にある酒場ではいまも煙草は吸い放題なのだという。なぜなら、煙草は彼らアメリカ先住民の「そもそも」の文化なのだから。1492年にコロンブスがアメリカ大陸を発見し、彼らはそこにあった煙草と梅毒をヨーロッパに持って帰って広めた。つまり煙草を吸うという文化はヨーロッパ人がアメリカに来るまえからあったものであり、あとから来た者がツベコベいうことではないということだ。ネイティブアメリカンに煙草を吸ってはいけないというのは、大昔から日本人が食べていた鯨を食べるなというのと同じ西洋人の身勝手な理屈と同じだ。

トランプ大統領は大の嫌煙家であり、いま公共の場で煙草を吸ったすべての人間を禁固
1か月以上、あるいは1000ドル以下の罰に処するという大統領令を用意しているらしい。それに対抗して、全米ネイティブアメリカン人権同盟は以下のような指令を地下ネットに流したという。

金髪の、奇妙な髪形の、人種差別主義者の、女性差別主義者の、同性愛差別主義者の、白人優位主義者の、ピンク色の肌をした70歳くらいの大柄なドナルドという名前の男を見つけたら、ただちに拉致して全裸にし、彼のクチとケツの穴に火のついた煙草を数10本突っこみ、自由の女神像から逆さ吊りにしてよろしい。

もうひとつ、トランプ大統領は1月24日、ダコタ・アクセス・パイプライン(DAPL)の工事を進め、カナダのアルバータ州からアメリカのネブラスカ州までの1179マイル(約日本の北海道から九州までの距離)をつなぐ石油パイプライン建設を手がけるトランスカナダ社に、オバマ前大統領が2015年に却下した建設計画の再申請をするように促す大統領令を出した。トランプは建設再開で、2万8000人もの雇用を生む素晴らしい建設計画だと誇らしく述べた。

この建設が強行されることに対し、スー族インディアンの首長会議は、我われの居住区近くを流れる飲料水の水源であるミズーリ川が汚染されてしまうと訴え、アメリカの首都ワシントンでこの3月10日、ダコタ・アクセス・石油パイプラインの建設に抗議する数1000人の支援者らとティピーと呼ばれるあの円錐形のインディアンテントで1週間におよぶ泊まり込みのデモを敢行した。「そもそも」この土地は、父祖の代から数万年にわたって我われの生きる土地だったのだと主張した。そして、全米ネイティブアメリカン人権同盟は以下のような指令を地下ネットに流したという。

金髪の、奇妙な髪形の、人種差別主義者の、女性差別主義者の、同性愛差別主義者の、白人優位主義者の、ピンク色の肌をした70歳くらいの大柄なドナルドという名前の男を見つけたら、ただちに拉致して全裸にし、彼のケツの穴から体内に、パイプで石油の原油1000リットルほどを送り込んでよろしい。

追記しておく。最近、アメリカでいちばんの医学部をもつジョンズ・ホプキンス大学の精神科教授3人が緊急報告としてNYタイムズに共同意見を寄稿した。「ドナルド・トランプ大統領は最近の言動をうかがうかぎり、典型的な偏執的自己愛症であり、切迫性被害妄想症である。できるだけ速やかに、しかるべき施設に収容すべきである」と。

きょうは、4月1日。私には、すこし妄想癖がある。